独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
***
グラスに注がれていた小麦色の液体が、精悍なラインを描いた喉に吸い込まれていく。生き物のように上下するとがった喉ぼとけを眺めていたら、グラスを空けた峰島先生がお品書きに目を落とした。
「日本酒、いける?」
私に目線を移し、彼は分厚い切り身のマグロに箸を伸ばす。
「ビール一杯しか飲んでないだろ。洋酒の方がよかった?」
「あ、いえ」
六月に入ってすぐの金曜日。帰りがけに「夕飯に付き合って」と連れてこられたのは、創作和食と日本酒が売りの落ち着いた居酒屋だった。
二十人も入ればいっぱいになってしまいそうなこじんまりした店は客層も落ち着いていて、仕事帰りらしき三、四十代のビジネスマンの姿が目立つ。友達と行くとしたら大学生や若い社会人が多いような安い居酒屋ばかりだった私にとって、大人の空間そのものだ。