独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
「あの夜、冨永さん、言ってくれただろ」
『好きな人の傍にいたいと思うのは、当たり前のことですよ』
私の記憶から抜け落ちている私のセリフを口にして、目の前の弁護士先生は気恥ずかしそうに目を逸らした。
「まあ、好きっていうか、手が届かない人って感じだけどな」
『なつかない美人猫』の見たこともない照れた顔と聞き覚えのない言葉に、がつんと頭を殴りつけられた気がした。思い浮かんだのは、メガネをかけた鋼鉄の所長秘書だ。
「手が、届かない人……」
『蒼王子、所長室に来るとしょっちゅう麗香さんのことを見つめてますよ。それはそれは真剣な顔で』
いつかのランチ時にそう言っていた雪絵の顔が脳裏をよぎる。胸の奥で、心臓が心もとないリズムを刻んでいる。