独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

「どうして、伝えないんですか……?」

 聞いてはいけない。そう思うのに、一度沈黙が生まれたら二度と口を開けなくなるような気がして、無理に口角を上げた。

「手が届かないなんて秘めてないで、気持ちを、お相手に伝えたら……」

 バーでお酒を飲んだときのことを私は覚えていない。だからそれを悟られないように、今ある情報からうまく話をもっていかなければ。

 心の中は荒れ狂っているのに、脳は仕事のときのように冷静に働きだす。それと同時に、いつか言われた言葉を思い出した。

『冨永さんにしか話してないから、誰にも言うなよ』

 ドクンと、心臓がひときわ大きく跳ねる。

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