独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
「顔が疲れてんな」
「え……」
トン、と音がして見ると、傍らのステンレス台に紙のカフェカップが置かれている。私がいつも飲んでいるお気に入りのお店のマークがプリントされた、テイクアウトカップだ。
「やるよ。カプチーノ、好きだったよな」
「はい……え、いや、でも」
「飲もうと思って帰りがけに買ったんだけど、またこれから出なきゃいけなくなったから」
そう言って私から離れると、彼は腕時計に目を落とす。
『飲もうと思って』なんて言ったけれど、彼が紅茶やコーヒーに砂糖やミルクを入れているところは見たことがないから、完全にストレート又はブラック派だと思っていた。
それに、私がこのお店のカプチーノが好きって、どうして知っているのだろう。