独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

「起案くらい自分でやれ」

「え……ずっと疑問だったんだけど、蒼史はどうやって時間を捻出してんの?」

「普通に。お前とは頭の出来が違う」

 最後の言葉はきっと冗談だろう。皮肉っぽく口角を上げる顔が想像できて、私はぎゅっと目をつぶる。胸を押さえたい衝動をこらえながら、目を合わせないように先生方に向かって頭を下げた。

「それでは私はこれで。失礼します」

 透明のガラス戸を抜けて、絨毯敷きの通路を自分の席へと急ぐ。

 胸の高鳴りが忙しない。

 やめて、と心の中で何度も叫んでいた。

 私に気づかいを見せないで。

 優しくしないで!

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