独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

「あの、急で悪いんだけど、この書面の起案もお願いできないかな」

「あ、はい」

 手書きの指示が入った分厚い書類を受け取ろうとしたとき、窓ガラスの方から声がした。

「赤賀」

 どきりと心臓が跳ねた。

 どんなに仕事に集中しようとも、彼の声はいつだって私の心を揺さぶる。

「そうやって、なんでもかんでも頼むなよ。彼女、ほかのパラリーガルより仕事抱えてんだから」

 蒼王子の言葉に、頬が熱くなる。彼の方を見られなかった。目が合ったら、仕事中はどうにか押さえつけている感情があふれ出してしまう。

「あ、そうか。ごめん。冨永さんに任せると間違いないから、つい」

 赤賀先生は差し出していた書類をひっこめて、照れたように頭を掻いた。そんな赤王子に、蒼王子は容赦ない言葉をぶつける。

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