独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
太陽光が殺人的な熱線をそそぐようになったせいで屋上ランチができなくなり、かといって事務所内で毎日お弁当を食べるのも気が滅入るということで、週に一度、長澤さんと雪絵と三人で近くのお店に食べに出るのが通例になっていた。
「夏休みが来る前に夏バテで死にそうだわ」
「今週と来週を乗り切ればすぐじゃないっすか」
長澤さんと雪絵の会話に苦笑しながら事務所に戻ると、事務机三つで構成された事務局がずいぶん賑わっていた。
事務員からパラリーガルから弁護士の先生まで集まっていて何事かと思っていると、今年三十四歳になるベテラン事務員の笠井さんと目が合った。
「あ、三人娘。ちょうど戻ってきた」
彼女は私たちに向かって手招きをすると、手のひらサイズのカップをひょいと掲げる。
「今、香坂先生が差し入れ持ってきてくれたのよ」