三時は特別な時間
「Hello(ただいま)」

そこには、シオンがいた。一年ぶりに会うシオンは、全く変わっていない。優しく微笑み立っている。

「おかえりなさい!」

恒音はそう言い、シオンに抱きついた。シオンも恒音の頭を優しく撫でる。恒音の目から涙がこぼれた。

「恒音、ごめんね?帰れなくなったって嘘だったんだ。恒音をびっくりさせたくて……」

「バカ!寂しいなって思ってたんだから!」

「ごめんね。愛してる」

ふわりとシオンの唇が恒音に触れた。頰にキスされたのだ。そして、次に唇に。

会えなかった一年分、二人は抱きしめ合いキスを繰り返した。

「ところで、恒音はおやつを食べたの?」

シオンに訊かれ、恒音は「食べてない」と答える。しかし、腕時計を見ればもう三時に近い。

「実は僕もまだなんだ。一緒に作らない?」

恒音の胸が高鳴る。幸せと楽しい気持ちがあふれて、混ざり合う。

「作ろう!」

恒音とシオンはキッチンに立ち、お菓子の材料を並べた。
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