一夜からはじまる恋
「樹ちゃんは私たちの大切な娘です。どうか幸せにしてやってください。私たちの息子にはできなかった。きっと息子の一番の心残りです。それをあなたに託したい。」
父の言葉に陸の母も湊を見る。
「樹ちゃんをよろしくお願いします。」
陸の両親は湊に頭を下げた。
「はい。大切にします。息子さんの想いの分も樹さんを幸せにします。」
湊の力強い言葉に陸の両親はもう一度頭を下げた。


陸の両親はまだ見たことのなかった学生生活を送る陸の姿や、樹といるときの陸の幸せそうな姿を見ながら幸せそうに思い出話をしていた。

そんな二人を少し離れてみていた樹は湊の方を見る。
「ありがとう。」
「どういたしまして」
湊はずっと樹のそばにいてくれた。樹から今日の提案があった時、湊は何も言わず手伝ってくれた。
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