一夜からはじまる恋
そして陸の父が開けた箱にはアルバムが入っていた。
そのアルバムの中には陸の両親も知らない陸の写真がいっぱい入っている。
樹と出会ったころから事故にあう直前までの写真がたくさん入っていた。
そのページをめくりながら陸の父の瞳から涙があふれる。

「もっと早くお渡ししたかったんですけど・・・」
涙で言葉に詰まる樹に湊が寄り添う。
「陸が事故にあって、現実を受け入れられなくてつらかった・・・でも一番つらかったのは陸を想えば想うほど幸せな思い出ばかり溢れて・・・」
陸の両親は泣きながら樹を見ている。涙で言葉が続かない樹の背中を湊がさすり続ける。
「私、陸に感謝しています。陸との思い出は私の一生のきらきらした大切な宝物です。」
陸の母が樹の手を握る。
「陸を忘れることはできないけど・・・」
樹が湊を見ると湊は優しいまなざしで樹を見つめながら頷いた。
「前に進みます・・・陸もそう望んでるから・・・」
陸の父が湊の手を握った。
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