一夜からはじまる恋
樹の体をそっと湊は抱き寄せる。
「あの夜湊さんに出会えてよかった。この子を授かれてよかった。」
湊はずっと樹から聞きたかった言葉を聞くことができて感動していた。
「湊さんとの赤ちゃんだもん。湊さんに名前、付けてほしい。」
「いいのか?」
二人抱き合ったまま話を続ける。
樹もそっと湊の体に自分の手をまわした。
「もちろん。パパ」
「・・・いい響きだな。パパって。」
樹には顔を見なくても湊がにやけているのがわかる。
「湊さん。」
「ん?」
「大好き」
「・・・!」
湊が突然黙る。そしてゆっくりと体を離した。
「愛してる」
真剣な顔で湊は樹に伝えた。
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