一夜からはじまる恋
湊は目を閉じたまま話を続ける。
「でも今は…胸はってこの子に父親の顔できない…。君を幸せにするって言えない…。」
弱々しい湊の姿に樹は心が痛んだ。

「もう少し待ってほしい。きみたちと向き合うまでに、時間がほしい。」

湊は樹を見た。

「ちゃんと逃げないで向き合ってほしい。ずるくてもなんでもいい。どんな真実も現実も受け入れる。だけど嘘だけはつかないでほしい。」
樹はまっすぐに湊を見た。

「頼むから。」
その一言に樹は頷いた。
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