一夜からはじまる恋
湊はそっと樹のお腹に触れた。

樹がその手を払おうとすると樹の手を湊がにぎる。

「連絡もしないでごめん。」
「……。」
「この子は俺の子だろ?」
「違います。」
「違わない。この子は絶対に俺の子だ。」
樹は湊がはじめから自分の嘘に気づいていたことを初めて知った。

動揺する樹とは反対に、湊は落ち着いた声で続ける。

「俺を避けたい理由はわからないけどさ、この子のことも、君のことも、俺は諦めるつもりはない。」
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