君のとなりで恋をします。─上─
「おーい、桜河!
あそこの岩まで勝負しようぜ!」
元気いっぱいに葵斗が指さしたのは、30メートルほど沖の方に離れた大きな岩。
葵斗くんや…
こやつがそんな事に付き合ってくれるわけ…
「─────俺に勝てる思うなよ?」
…いや、やるんかーい。
珍しくやる気満々な桜河は、着ていたパーカーを脱いで私に投げ渡す。
「…持っとけ。」
「絶対負けねぇ!
咲花、絶対勝つから見といて!」
「二人とも頑張って!」
可愛くガッツポーズをしてみせる咲花のエールを受けて、二人は同時にスタートする。