君のとなりで恋をします。─上─
「あの二人…
ずっとあっちで遊ぶつもりかな。」
「なかなか帰ってこないね。」
葵斗と桜河は、既にゴールしたにも関わらず
あの岩から帰ってくる様子はない。
「葵ちゃんってば…
見とけって言っておいて、ずーっとここで待たせるつもり?」
プクッと可愛くむくれる咲花。
葵斗ドンマイ。
こんなに可愛い咲花の表情を見逃すなんて。
「もうレースは見たんだし、こっちはこっちで楽しもうよ。」
あっちはあっちで楽しそうだし、そっとしておこう。
それに、桜河と葵斗が二人きりで遊ぶなんて
滅多にないことだろうし。
「あ、私かき氷食べたいな。」
そう呟く咲花に、私も便乗する。