君のとなりで恋をします。─上─













「…いひゃい……。」












桜河に摘まれてそのまま横に引っ張られた頬は、少しずつ熱を帯びていく。












「…吐け。」








彼の唐突な言葉に、一瞬キョトンとする。










「お前、何かあっただろ?

吐き出せ。…聞いてやるから。」









私の目をじっと見詰めて言い切った桜河に、
思わず涙が溢れそうになる。





やっぱり敵わない。

全部見透かされちゃってる…。




私だって誰かに話してスッキリしたいけど…




でも、今あの話をしたらきっと…

柊吾に対しても桃奈さんに対しても、嫌な思いが止まらなくなりそうで…





そんな性格の悪い子になりたくないし…

せっかくみんな楽しく遊んでるのに、その雰囲気を壊したくない。










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