君のとなりで恋をします。─上─
「…なんでもないっす。
先輩、アップ始めましょう。」
「あ、あぁ。そうだな…。」
何か言いたげな表情から一転して、真顔になった彼の言葉に、聖陵高校の選手たちはアップを開始する。
市原哲平が何を言いたかったのかはよく分からないけど…
助かった…。
私はホッと一息ついてから、キャプテンと共に紅羽側のベンチに戻る。
「香純ちゃん。モテモテだったね(笑)」
「…私が可愛く見えるだなんて……。
…聖陵の方々は、相当女子マネに対する憧れが強いんですかね?」
社交辞令かもしれないけど…
あんなに可愛いなんて言われたことなんてないし…
正直どう反応すれば良いかわからなかった。