君のとなりで恋をします。─上─
「桜河、香純ちゃん。
ワシが乗せて行ってやろう。」
玄関を出ると、目の前で軽トラを止めて待機していた光雄じいちゃん。
「光雄じいちゃん!
助かる、ありがとう!!」
お礼を言って、私達は軽トラの荷台に勢い良く飛び乗る。
光雄じいちゃんの運転する軽トラに乗る時には、私たちはいつも荷台。
田舎道なら何でもありだ。
流れる景色も綺麗で 風も気持ち良いから、昔からここは私と桜河の特等席。
今日も車に揺られて、心地よい風を感じる。
「…眠ぃ……」
猫みたいに大きな欠伸をする桜河。
「もう、ネクタイ曲がってるよ。」
ズボンから出たシャツ、捻れたネクタイにノーセットの茶髪。
…まったく、だらしないったらありゃしない。
私はせっせと桜河のネクタイを結び直す。