君のとなりで恋をします。─上─
よかった…
葵斗が電話をかけてこなかったら、今頃…
「────うん、…うん。
わかった、また後でね?」
彼女がスマホを耳から離したのを確認し、尋ねる。
「葵斗、なんて?」
「今から咲花とここに来るって。
今日、サッカー部休みになったらしい。」
「そっか。」
途切れた会話。
二人の間には気まずい沈黙が流れる。
俺と目が合うだけで、顔を真っ赤に染めて下を向く香純。
そこまで照れられたら、釣られてこっちまで照れてしまう。
「そういえば…柊吾、何も食べてないよね?
く、果物くらいなら食べれるかな?」
「あ…うん。
とりあえず何か食べたいかも。」