【番外編 完】愛を知らない彼
まとわりつく過去 〜康介〜
空港に着いて千花に電話をすると、やっと声を聞くことができた。
何か様子がおかしい感じもしたが、もうすぐ会えると思うと少し安心した。
何があったのかわからないけど、とにかく一刻も早く千花の元に帰りたかった。

千花と電話をしていると、誰かに呼び止められた。
声のした方に視線を向けると、同僚の園田優子だった。


「康介、お帰り!!」

「ああ、園田さん。どうしてここに?」

「たまたま用があって、近くに来てたの。そういえば康介が帰ってくるなあと思い出して来てみたら、ナイスタイミングだったみたいね」

「そうだったんだ。それじゃあ、園田さんまた月曜に会社で」

「もう、康介ったら他人行儀なんだから。優子って呼んでよ。ついでだから、お茶でもしましょうよ」

「園田さん、君と僕はもうそんな関係じゃないだろう。とっくに終わってるんだ。馴れ馴れしく呼ぶのはやめてくれ。こっちは急いでるからここで失礼するよ」
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