極上蜜夜~一夜の過ちから始める契約結婚~
同じ、穏やかな大人の男というだけで、別れたばかりの春馬さんと印象が被る。
向かい側のソファに座り、やや正面を外して長い足を組み上げている彼に、春馬さんの面影が過ぎり、私はハッとして顔を背けた。
「門脇泉水さん、二十八歳。東京在住の会社員……ですね」
彼が、ちらりと私に横目を向けてきた。
どこか艶のある流し目にドキッとしていると、彼はクスッと笑った。
「な、なにか?」
「失礼。せいぜい大学生かそこらかと思っていたので」
「……顔立ちのせいですか。幼いって、よく言われます」
彼は書類に視線を戻し、「いえ」と短く否定した。
「親鳥からはぐれた雛みたいに、心細そうな顔をしてるせいです。大丈夫。パスポートなど、所詮役所が発行するものですから、失ったきりにはなりませんよ」
――励ましてくれたんだろうか?
なんだか少し、心が軽くなったような気がする。
「勤務先は……へえ。国内最大手の商社ですか。優秀な方なんですね」
続けて記載事項を読み上げる低い落ち着いた声が、私の耳をとても心地よくくすぐる。
それもまた春馬さんと重なり、私は胸元を握りしめた。
「いえ、そんなことは」
事務的な会話をしてるだけなのに、いちいち胸が騒ぐ。
私は一度ぎゅっと唇を噛みしめてから、恐る恐る彼に視線を戻した。
彼と春馬さんの違いを見つけて、どうにかして自分に刻みつけたかった。
向かい側のソファに座り、やや正面を外して長い足を組み上げている彼に、春馬さんの面影が過ぎり、私はハッとして顔を背けた。
「門脇泉水さん、二十八歳。東京在住の会社員……ですね」
彼が、ちらりと私に横目を向けてきた。
どこか艶のある流し目にドキッとしていると、彼はクスッと笑った。
「な、なにか?」
「失礼。せいぜい大学生かそこらかと思っていたので」
「……顔立ちのせいですか。幼いって、よく言われます」
彼は書類に視線を戻し、「いえ」と短く否定した。
「親鳥からはぐれた雛みたいに、心細そうな顔をしてるせいです。大丈夫。パスポートなど、所詮役所が発行するものですから、失ったきりにはなりませんよ」
――励ましてくれたんだろうか?
なんだか少し、心が軽くなったような気がする。
「勤務先は……へえ。国内最大手の商社ですか。優秀な方なんですね」
続けて記載事項を読み上げる低い落ち着いた声が、私の耳をとても心地よくくすぐる。
それもまた春馬さんと重なり、私は胸元を握りしめた。
「いえ、そんなことは」
事務的な会話をしてるだけなのに、いちいち胸が騒ぐ。
私は一度ぎゅっと唇を噛みしめてから、恐る恐る彼に視線を戻した。
彼と春馬さんの違いを見つけて、どうにかして自分に刻みつけたかった。