極上蜜夜~一夜の過ちから始める契約結婚~
成瀬さんが、なにか自嘲的に思えたから、私はゴクッと唾を飲んだ。
けれど、彼は一瞬見せた憂いをすぐに霧散させる。
「まあ、おかげで、誰に気兼ねすることもなく、今日初めて出会った門脇さんとディナーを堪能するという、極上の時間を過ごせる」
ワインのせいか、間接照明のせいか、ほんのりと赤く染まった頬と目元が、やけに色っぽい。
「ご、極上なんて」
私は、頬をカッと赤く染めて目を泳がせた。
それには、成瀬さんもふっと短い吐息で笑う。
そんな彼を、私は顔を火照らせながら上目遣いに窺った。
大使館ではどこか事務的だった彼が、仕事から離れてプライベートだからか、ずっとずっと柔らかい、寛いだ表情を浮かべる。
髪のセットも、この時間になるとやや崩れていて、さらりと額にかかっている。
そのせいか、昼間会った時より少しだけ幼く見えて、ちょっと春馬さんの印象と被る。
成瀬さんの態度が少しずつ砕けてくるごとに、胸がとくんとくんと鳴り始める。
そんな自分に戸惑い、私は徐々に彼から目線を外していった。
トラットリアを出た時、時計は午後九時を指していた。
成瀬さんと約束したのは、夕食だけ。
「タクシーを呼びましょう。ホテル、どちらですか」
彼は、高級ブランドの腕時計で時間を確認しながら、そう言ってくれた。
けれど、彼は一瞬見せた憂いをすぐに霧散させる。
「まあ、おかげで、誰に気兼ねすることもなく、今日初めて出会った門脇さんとディナーを堪能するという、極上の時間を過ごせる」
ワインのせいか、間接照明のせいか、ほんのりと赤く染まった頬と目元が、やけに色っぽい。
「ご、極上なんて」
私は、頬をカッと赤く染めて目を泳がせた。
それには、成瀬さんもふっと短い吐息で笑う。
そんな彼を、私は顔を火照らせながら上目遣いに窺った。
大使館ではどこか事務的だった彼が、仕事から離れてプライベートだからか、ずっとずっと柔らかい、寛いだ表情を浮かべる。
髪のセットも、この時間になるとやや崩れていて、さらりと額にかかっている。
そのせいか、昼間会った時より少しだけ幼く見えて、ちょっと春馬さんの印象と被る。
成瀬さんの態度が少しずつ砕けてくるごとに、胸がとくんとくんと鳴り始める。
そんな自分に戸惑い、私は徐々に彼から目線を外していった。
トラットリアを出た時、時計は午後九時を指していた。
成瀬さんと約束したのは、夕食だけ。
「タクシーを呼びましょう。ホテル、どちらですか」
彼は、高級ブランドの腕時計で時間を確認しながら、そう言ってくれた。