身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
「嘘おっしゃい」
「ほんとですー」
立ち上がった母親に言い返したが、実際聞いていなかった。
「語尾を伸ばさないの、みっともない。ごめんなさいね、閑くん。ほんとにぼうっとした子で」
視線を琴音から閑に移した母親はそう言うが、琴音は言いたい。正月に『両家の事情』を聞かされて、まだ三日。たった三日しか経っておらず、感情が追い付かない間に今ここにいるのだ。多少思い耽ってしまっても、仕方がないではないか。
仕事初めまでにとりあえず再会させておきたかったのはわかるが。仕事が始まれば、また琴音は忙殺される、それを見越してのことだろう。
「仕事が忙しいと聞いているので、疲れてるんでしょう」
母親に更に言い返そうとしたが、閑の言葉にどうにか飲み込んだ。
そうやって琴音を庇ってくれるところは、昔と何も変わっていない。
どうしようもなく、胸の奥が騒いでしまう。