身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
ゆらゆらと揺れる感覚は、琴音を抱き上げたまま閑が歩いているからだ。閑は琴音を抱いたまま、器用にどこかの扉を開ける。
どこか――それは、寝室でしかありえないと琴音にもわかっていた。
閑は腰を屈め、琴音のこめかみに口づけながら、ゆっくりとベッドに下ろす。
ぼんやりと閑の顔を見上げていると、彼は一度身体を起こしスーツのジャケットを脱ぐ。ドレッサーの方へ歩いていくと、その椅子の背に掛けた。
そうして、今度はネクタイを緩めて引き抜き、シャツのボタンを外しながら琴音の元へ戻ってくる。
その一連の動作を見ながら、琴音は今更ながらに自覚した。
――そうだ、今日はふたりの初夜なのだ。
ぎしっとベッドの軋む音がして、はっとする。閑の片手がベッドの上、琴音の身体の横に置かれた。天井を琴音から隠し覆い被さるように迫る彼の目は、もう幾度か見たことのある、熱に浮かされた欲望の滲む色をしていた。
「あ……」
自分の唇から、か細い声が零れる。シャツのボタンを全て外し終えた彼の右手が、琴音の頬に近づき指先が触れる。そのまま羽で撫でるような優しさで、首筋を下り鎖骨を撫で、ワンピースの襟元で止まった。
「し……ずか、さん」
「……ん?」
熱く潤んだ視線が、琴音の目や唇や、首筋を見つめている。顔を傾ければさらりと黒い前髪が揺れ……かと思えば琴音の視界から外れ、首筋に口づけられていた。