身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
「あっ」
ぞくりとして、身を強張らせる。その変化を敏感に感じ取って、閑は一度顔を上げた。琴音に覆い被さったままで見下ろして、琴音の前髪を片手で弄る。そうしている間にも、閑の息は少し荒く聞こえた。
「……嫌か?」
違う、と必死で頭を振った。決して嫌ではない。だけど、琴音にはかなり、そうセカンドバージンと言っていいくらいに久しぶりで、なのにこんなに、まだ始まりもしないうちから心臓が跳ねてしまう。
「……じゃあ、怖い?」
それには返事が出来なかった。少し怖いのかもしれない。
閑の指先ひとつ、唇から零れる息ひとつに身体が震えてしまいそうになる。こんなことは初めてで、本当に『始まって』しまったら、自分はどうなってしまうのだろう。
返事を待つ間も、閑の目は琴音から離れない。そして、いつまでもただ待ってはいなかった。
「……悪い」
低く唸るような声で言う。目を眇めて、彼の片手が琴音のワンピースの襟のボタンを外していった。
これまでずっと琴音を気遣った閑が。琴音の言葉を聞かない。息を飲んで見上げると、閑の額からぽたりと汗が一つ落ちた。