身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
――いやしかし、それにしたって、あんなに何度も何度も?
途中、琴音が音を上げそうになっても、キスをして宥めすかし、可愛い綺麗だと褒めそやして、抱き続けた。
そうなると琴音もとてもはしたない声で鳴いた気がする。
「……ぁぁぁぁ」
背後では、閑がまだ寝息を立てている。それでも羞恥心が夕べの記憶に耐えきれず、小さな声で悲鳴を上げた。
――恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい!
両手で顔を覆って身悶えていると、微かにベッドが揺れた。
「琴音? どうした?」
寝起きの掠れたなんとも艶のある声が聞こえ、それと同時に背後から腕が回って琴音の身体を抱き寄せる。琴音は顔を覆ったまま、ぎくりと固まった。
「昨日は疲れているところに眠るのも遅くなったんだ。もう少しゆっくりしたらいい」
ちゅっ、と肩に口づけられてぴたりと背中に閑の身体が沿う。
確かに遅くなった。夕方近くから始まった行為は、夕食の時間もとっくに過ぎて夜が更けるまで続いたのだから。
今は、何時なのだろう。カーテンの隙間から差し込む光はまだ少し弱いような気がするから、早朝なのかもしれない。