身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~

「うん、わかった。今日行ってみる」
「本当に? タクシーを呼べばいい。それか、秘書を寄越そう。俺は午前中抜けられない会議があるが、あいつなら身動きが取れる」
「秘書⁉ いいよ、大丈夫! つらかったらタクシーを呼びます。秘書さんにはちゃんと仕事をしてもらってください」

 いくら秘書でも、上司の妻の病院に付き添わされるのは驚くだろう。
 必ず自分でちゃんと行くから、行ったらメッセージを入れるからと約束して、どうにか閑を仕事へ送り出す。

 はあ、とため息を吐いた。

「そんなに頼りなく見えるのかな」

 過保護にもほどがあるし、心配性が過ぎてハゲになるのじゃないかとこちらが心配になってくる。

「多分、生活が変わったのと、夏バテとが重なったんだとは思うんだけど……」

 玄関からリビングへと戻りつつひとりごとを零す。夏に食欲を無くすことは別に珍しくない。働いていたときは、だるいのは日常茶飯事だったし、過労で生理が止まることだって度々あった。

 退職してからは、こんな不調は初めてだけれど……。
 そこで、ふと、気が付いた。

 ――……あれ?

 ひとつの可能性に気が付いて、思考回路がなぜだかゆっくりとしか働かなくなった。呆然としながらおもむろにスマートフォンのありかを探し、テーブルの上にそれを見つける。椅子に座って手に取ると、カレンダーを表示した。

 ――最後に生理が来たのは、いつだった?
 

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