身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
「なんなら生まれるまで知らせなくてもいいかなと思うくらいだ」
「えっ、そんなわけには」
「妊娠を知ったら今度は男か女かと気にし始めるに決まっている。琴音のストレスになるのは間違いない」
「あー……」
言われて納得した。勿論、生まれるまでは知らせなくていいと言うのは言い過ぎだし無理があるが、それならやはり、安定期に入ってから伝えるのがいいだろう。
つわりだなんだと身体が辛い時にそれ以上のストレスになるのは避けたいし、安定期に入ったら、じきに性別もわかると聞く。わかった時点でさっさと伝えてしまえばいいから、悩まされる期間は短くなる。
閑と話し合って、五か月になってから報告することにした。それまで、つわりで辛くても相談出来る人がいないのは不安だが、どうにか乗り越えよう。
友人でもいればよかったのだが、学生時代の友人とは会う余裕がないまま月日が流れて今ではすっかり疎遠だ。
考え込んでいると、閑が琴音の頬に手を当てる。琴音がこれを好きなことを、閑もわかっているのか近頃は毎日のようにしてくれる。
すり……と頬を摺り寄せると、もう片方の手を首筋に添え、ふわりと唇を合わせた。