身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~

 左腕の中に彼女の上半身を迎え入れると、彼女は嬉しそうにぴったりと寄り添ってくる。

「……ごめんなさい、重い?」
「いいや」

 晴花は可愛い。それは、俺だけでなく琴音も同じだろう。しかし、それとこれとは別であった。今は、仕方がないのだが――琴音が足りない。

「補充したい。顔上げて」

 すり、と髪が服にこすれた音がして、琴音の顔が上向いた。ほんのりと染まる頬が、彼女もまた『補充したい』のだと知らせてくれる。

 瞼にキスをして、琴音の目を閉じさせてから、ゆっくりと唇を味わった。啄んで、徐々に濡れた唇は滑りが良くなり、くすぐったいような心地よさを連れてくる。

 不自然な姿勢であまり深くはできず、軽く合わせたまま互いに舌を差し出して絡ませる。肩を抱いた手で首筋を撫で、耳朶を指で擽れば彼女の甘えるような声が聞こえた。

「ん……ぁ」
「今度、デートしようか」
「え?」
「晴花は実家に預けて……それまでは、キスで我慢だな」

 そう言うと、すぐ目の前で彼女の顔が真っ赤に染まる。それから、俺の胸に顔を伏せてぎゅうと腰に抱き着いた。

 ――ああ、本当に、可愛い。

 両腕に、ぬくもり。
 幸せは、重くて温かいものなのだと知った。


――END――

< 239 / 239 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1,141

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

もう一度 恋をするなら
  • 書籍化作品

総文字数/52,762

恋愛(オフィスラブ)58ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
【書籍版とは内容が異なります】 手が届きそうだった初恋が目の前で搔き消えた―― 今年で三十歳、友人の結婚や出産報告も増えてきた。 祝福する気持ちはあるけれど、燈子はずっと恋愛から遠ざかったまま仕事に没頭する日々を送っていた。 そんなある日、偶然再会した初恋の彼。 明るく優しかった彼は、昔と様子が違って見えて…… 今井燈子(29)看護師   × 弓木薫(29)MR 心の奥にしまった初恋に、光が灯る
あなたの愛は重すぎる

総文字数/124

恋愛(純愛)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
【作品準備中】 「気安い恋しかしないと決めてるから」 婚約者を亡くして三年 寂しい夜を埋めるだけの恋しかしないと決めた 私ひとりの人生では済まないから そんな私に あなたの愛は、重すぎる
エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
  • 書籍化作品
[原題]今夜、君は俺の腕の中

総文字数/119,762

恋愛(純愛)185ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
冷たくされても信じていた それが馬鹿だったのかもしれない だけど、愛した人を信じることの、何がいけないのとも思う ただ、視野は狭くて ひとりしか見えていなかった 慰めを求めた人の方が どうしてこんなに温かいんだろう 彼氏の裏切りに気づけなかった おっとり派遣社員 後藤雅(25) × 片恋こじらせエリート医師 高野大哉(29)

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop