身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
左腕の中に彼女の上半身を迎え入れると、彼女は嬉しそうにぴったりと寄り添ってくる。
「……ごめんなさい、重い?」
「いいや」
晴花は可愛い。それは、俺だけでなく琴音も同じだろう。しかし、それとこれとは別であった。今は、仕方がないのだが――琴音が足りない。
「補充したい。顔上げて」
すり、と髪が服にこすれた音がして、琴音の顔が上向いた。ほんのりと染まる頬が、彼女もまた『補充したい』のだと知らせてくれる。
瞼にキスをして、琴音の目を閉じさせてから、ゆっくりと唇を味わった。啄んで、徐々に濡れた唇は滑りが良くなり、くすぐったいような心地よさを連れてくる。
不自然な姿勢であまり深くはできず、軽く合わせたまま互いに舌を差し出して絡ませる。肩を抱いた手で首筋を撫で、耳朶を指で擽れば彼女の甘えるような声が聞こえた。
「ん……ぁ」
「今度、デートしようか」
「え?」
「晴花は実家に預けて……それまでは、キスで我慢だな」
そう言うと、すぐ目の前で彼女の顔が真っ赤に染まる。それから、俺の胸に顔を伏せてぎゅうと腰に抱き着いた。
――ああ、本当に、可愛い。
両腕に、ぬくもり。
幸せは、重くて温かいものなのだと知った。
――END――


