身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
 平日は琴音が晴花につきっきりだ。夜は交代しようとするのだが「閑さんには仕事があるから」と、深夜はやはり琴音が引き受けてくれている。
 だからせめて休日は、ふたりで取り組むようにしていた。

「閑さん、次、私が代わる」
「いや、いい。もう一度やらせてくれ」

 よし、と再度気合を入れて、晴花を抱き上げる。正直、泣き顔も可愛い。が、中々にずっしりと重くなってきた晴花を何時間も抱っこで寝かせるのは辛いものがある。

 立て抱きにしてやればすんなりと泣き止んで、こてんと肩に頭を寄せる。ほんのりと甘いミルクの香りを吸い込めば、疲れも吹き飛んでしまうのだが。

「……仕方ない。無理に寝かそうとするのは諦めよう。琴音は休んでいていいよ」

 とんとんと手のひらで晴花の背中を叩いてやりながら、リビングのソファに移動する。横で俺が晴花を抱いたまま起きていれば、眠れないだろうと思ったのだが、結局琴音も後を追いかけてくる。

 近頃、睡眠も小刻みなはずだ。俺が見ている間に、少しでも休んだ方が良いと思うのだが。
 ソファに座り、片腕で晴花を立て抱きにして背もたれに身体を預けると、琴音が何か眉を八の字にしていた。その表情に、苦笑いが零れる。

「あ、じゃあ、コーヒーでも淹れる」
「いや、いいよ。琴音、寝ないならこっちにおいで」

 右腕には晴花がいる。左手でソファの座面をぽんぽんと叩くと、琴音が少し頬を緩ませて隣に座った。

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