身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
年齢的に琴音も閑も、遅すぎるということもない。かといって、そんなに急かされるほどの年でもない。
――おばさまは、初孫が早く見たいんだろうし、多分おじさまもそうなんだろうな。
閑はひとり息子だ。子供の頃からの付き合いで、優子がかなりの子供好きなのは、伝わってくる。本当なら、閑の後にも子供が欲しかったのかもしれないが、授からなかったということかもしれない。
それなら尚更、初孫には期待が大きいだろう。つまり、琴音に大いに期待している、ということだ。
それに、今のところはっきりとは言われていないが、きっと跡継ぎだって必要なはずだ。
――これは……覚悟しておかなければいけないかもしれない。
二宮に嫁入りするということは、そういうことなのだ。
決して浮かれていたわけではないけれど、思わず背筋を伸ばしごくりと唾を飲んだ。その時に。
「琴音?」
閑の声にぱっと顔を上げると、襖を開けてそこに彼が立っていた。
「閑さん」
「どうかした?」
なぜだかひどくほっとして、体の強張りが解ける。いつのまにか、ずいぶん肩に力が入っていたらしい。