お願いだから、俺だけのものになって
(美紅side)

夏樹さんと
付き合いだして1か月



部活で忙しい
夏樹さんと会えるのは

お弁当を買いに来てくれる
朝の時間と日曜の午後



夏樹さんは私
にはもったいないくらい
素敵な人だ



女子に人気で
男子からの人望もある



ひたむきにサッカーをしている姿は
いつ見ても
カッコイイって思っちゃう



笑顔が優しくて
私のこともたくさん褒めてくれて

私がやりたい!って
思ったことには

「頑張れ!」って
快く応援してくれる



これ以上素敵な人なんて
きっとこの世にはいないだろう



夏樹さんが私を好きになってくれて
私は本当に幸せ者だと思う



それなのに・・・・


心の奥の奥に

今でも消えてくれない
破片があって

ふとした時に
私の心を
チクチク刺してくる



なんで?



なんで私の心の中から
出て行ってくれないの?



私は夏樹さんが
好きなはずなのに・・・



それなのに・・・




家に帰り
郵便受けの中をのぞくと

私宛に
1通の手紙が届いていた




差出人は・・・・


長谷川・・・奏多・・・



奏多君の名前を見た瞬間
私は固まってしまった



ダメだよ!

美紅!



手紙の封をあけちゃダメ!



開けたらきっと
私の中に抑え込んでいた思いが
あふれ出てきてしまうから・・・



私は自分の部屋に行き
奏多君からの手紙を読むことなく
鍵付きの引きだしの
一番奥にしまった
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