【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
月曜日。


なんで蝉の声が聞こえないのか不思議なくらい朝からじりじりと照りつける太陽は夏そのもので。


首元を伝う汗をタオルで拭いながら教室についた。


すぐに見たナギちゃんの席は空っぽ。
まだ登校してきていないのかな。


あれ?
教室がやけに騒がしい。
何かあったのかな?


「あ!胡桃!!」


彗やその周りの友達が慌ててあたしを手招きする。


「どうしたの彗?」


「胡桃知ってた?金曜にナギが怪我したって!」


「え!?」


「足、骨折だって!」


「ど、どどうして!?え、ナギちゃんは?」


部活で怪我をしたのかな。砂埃のグラウンドとサッカーボールがふっと頭に浮かぶ。


「部活のあとに車にぶつかって、それで救急車で運ばれて・」


……車?

部活じゃなくて?

ゆっくりと、目を見開いた。



「それで!?……今は!?」


身を乗り出して、彗の両肩を揺さぶりかけたあたしに、彗は「ストップストップ!」と両手を開いて見せた。



「落ち着いて!大丈夫、入院したけど元気だってサッカー部の人たちが言ってた!」


「そ……そっか……よかった」


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