【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。

よし、っと。
プリントを提出しに、日直の灰野くんの方へと歩く。



ふいに視線を上げた灰野くん。

うわぁ……今日もまぶしいよ……っ。



藍田(あいだ)さん、プリントもらうよ」


彼の手のひらが、ちょうだいと向けられる。


「あっ、はい。お願いします……!」



あたしたちは見ての通り14年分の絆なんてさっぱりなくて、苗字で呼び合い他人のように会話する。


14年のうち、あたしたちが同じクラスになったのは中1、2の二年間足す、先月から数えて2カ月。


二年と、二か月。


その日々の中に、灰野くんと頻繁に話した時期もあった。隣の席だったたったの一カ月。




そのたった一カ月間、あたしたちは、彼氏彼女だった。


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