【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
だけど夢だったのかな。
いつ、終わってしまったんだろう?


席替えと一緒に離れた距離は、今もまだ埋まらない。


中学の頃と変わらずクラスの真ん中にいる彼って言うのは、明るいけどちょっとクールで落ち着いている。


今は、彼女ナシのフリー。だけど、彼女ができるのも秒読みだと思う。


だってこんなにかっこいい人を、みんな放っておくわけがないよね?


実際、友達でもなんでもない女の子に囲まれる灰野くんをよく見かけるもん。


そういう時の灰野くんはぼんやりとした顔でよそを見ていたりする。



ーーあの雲、犬みたい。
と、アフレコをつけたくなる顔で。



「もう全員出したよね?提出にいって大丈夫?」


この、のんびりした声だって、正直たまらない。


「ちょっと待って!私まだー!」


「てかちょっと灰野くん聞いてよーこの前ー」



自分からガツガツとコミュニケーションを取りに行くタイプではないのに、妙に人を惹きつけてしまう灰野くんは、あちこちで声をかけられている。


けだるげな表情さえ清らかに映る。灰野くんは、とくべつ。



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