【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。


もう放課後になるけど、藍田さんと一言もしゃべることはなかった。


ほんと、我ながらゴミ以下の彼氏だと思う。


で、当たり前みたいに俺の隣の席に座ってる山本はなんなんだろう。


「なぁなぁ、灰野と山本ーっ!」


やけにご機嫌な佐藤が来たな。


「んぁ?何?」


山本がチュッパチャップスを咥えながら佐藤を見上げる。


「今日合コン行かない?」


「合コン行くー!」


はっや。
さすがチャラいでしかない山本、フットワークが違うわ。


「つーか佐藤部活ないの?」

「サボる」

「ああそう」

ナギなら合コンなんかで部活さぼんないだろうなぁ……。


「灰野はこれない?女子陣にブーイング貰いたくないし、一人くらい顔面偏差値飛びぬけてるお前入れときたいんだけど」


ナギは僕壊で、聞き上手で、部活熱心で、人当たり良くて、素直で……。
あいつに勝てるところなんて、正直なところないんだよな。



「……はぁ」


「何溜息ついてんだよ?いかねーの?めっちゃ美人ぞろいだぞ」

あれ?なんの話だっけ?
あぁ合コンか。


「俺は行かない」

全っ然興味ないし。


「おー、一途か。伊吹くん唯一の取り柄!」

うっせーな山本。

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