【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
 ◇

あっという間に迎えた夏休み。

俺は、藍田さんと補習で。

朝、カーブミラーの前で待ち合わせるのは、もう二週目にはいる。


「……おはよう、灰野くん」

その声を聞くと自然と緊張するのはいつものことで。

「おはよ」


たいした会話もないけど、そこまで空気は悪くない……と思う。

学校につくと、ナギがいる。

毎日バスで通学しているらしいナギは、最近知らない女子が校門で下校を待っていたりする。

多分バスでナンパされるかするかしてるんだろう。


つまり、ナギはぶっこわれたままだ。


「ナギちゃん、おはよう」

「おはよー胡桃」


へらっと笑うナギはまぁまぁいつもどおりだけど、
藍田さんもそうなわけはなくて。


「……」

藍田さんはふいっと顔をそむけてから、席について、目を伏せた。

漂うオーラは限りなく負。


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