【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
ガラスの破片が飛び散って、まばゆい太陽にキラキラ反射しながら落ちていく。


数秒、時が止まった気がした。


それからやっと、屋上の入り口の扉のガラスを、灰野くんの両手が破ったんだって気付いた。



「あ……」

「灰野くん!大丈夫!?」

「うわ……やば」


あたしたちの顔は赤から青へ変わっていく。


見事に砕けた窓ガラスは、キラキラと七色に地面を彩っている。


灰野くんのカーディガンについたガラスのかけらを取ろうと手を伸ばしたら、



「危ないからやめて」



そう言って自分で制服を払い始めた灰野くんの手を見て、あたしは余計に青ざめる。



「灰野くん怪我してる!」


片手から血が、流れてる……。


「こんなの大丈夫」

「大丈夫じゃないよ!」



切れた手のひらをハンカチで抑えていると、


「うっわー、やっば」


割れた窓の向こう側からナギちゃんの声がして、なんだか一気に安心して泣きたくなった。

いや、ちょっと泣いた。


「ふたりとも、ちょっと面白かったよ」


ぷっと吹き出すナギちゃん。


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