【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
ナギちゃんもしかして一部始終見てた?

でもそんなこと今はどっちでもいい。



「緊張しすぎて窓割ったわけ?大丈夫かよ」


と笑うナギちゃんに、笑えないあたしたち。


「うお、なにこれ?」

「誰が割ったの!?」



クラスの人たちが、ぞろぞろとやってきてぎょっとする。



「おう野次馬たちがやっと来た。おせーぞ」



ナギちゃんは集まってきたクラスメイトのところへと進んで、言った。


あの、正義の味方みたいな心強い背中は忘れられない。



「二人のファーストキスを覗こうとした変態みんなにお願いがあるんだけど」



――――みんなで鬼ごっこしてて、割っちゃったことにしていい?




その提案は、ブーイングをもちろん呼ぶ。


「なんでぇー?怒られるじゃん!」

「説明してよ!」


ナギちゃん……どうするんだろう。

不安に見上げると、ナギちゃんはみんなに笑いながら言った。



「キスしようとして緊張のあまり笑っちゃった少女Aがいてね。

それを引き金にどうかしちゃった少年Aがロケットモードで、ココ突き破ったわけ」



ざわっとどよめく屋上。



い……いたたまれない。


あたしはただ俯いて。灰野くんのほうも見れそうにないよ……。



「この幸のない二人を助けてくれるひとー?」




ナギちゃんの呆れ笑いが忘れらない。

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