月夜に花が咲く頃に
『お前は、いらない』


ああ、ずいぶんと懐かしい声だ。


あの頃と変わらない、冷たくて、乾いた声。


目を開ければ、いつも通り、凍てつくような瞳でこっちを見てる。


頭を押さえつけられ、腹を蹴られ。


最後に一言、言われるんだ。


『お前は、いらない』


なんで、今頃になってあなたが目の前にいるんだろう。


あの時、私は捨てられたはずなのに。


もう二度と、会うことなんてないと思っていたのに。


私は、一生、あなたのその瞳に、言葉に。


縛り付けられるのだろうか。


ずっと、このまま、あなたの陰に怯えて生きるしかないのだろうか。




苦しい。



嫌だ。



怖い。







助けて・・・・・・・・・・・・。






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