偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
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「昨日の夜はどうかしてました…すいません…杏花」

彼は朝食を食べながら私に謝罪する。

「・・・」

二人の初めての夜に水を差した玲人さんの言葉に思わず私は反論した。

「どうかしてたって…玲人さんは昨日の夜のコトは忘れてくれと言いたいんですか?」


私は思わず怒ってテーブルを拳で叩いた。

私の拳で揺れるテーブル。

「杏花・・・」

「玲人さんの馬鹿っ!!私は絶対に忘れませんから・・・」

私はずっと待って居た。
彼と過ごす甘い夜。

―――二人のドバイでの良き想い出にしようと思っていた。

ホテルで起きた車の炎上は一台の車のガソリン漏れが何かに引火したのが原因だと今朝のニュースで知った。

私達は互いにわだまかりを残したまま、空港で別れた。



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