偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
先輩の予約した店は格式のあるフレンチレストラン。
恋人でもない私の為にこんな店を予約するなんて。

私は入るのを躊躇い、足を止める。

「この店、気に入らないの?」

「そうじゃなくて・・・」

「お金のコトなら心配しないで。塩崎さん」

私は先輩に促され、中に入った。
係の人に案内されたのは場所は個室で、窓越しの夜景は絶景だった。
リクルートスーツに身を包む私には場違いな場所だと思った。
こんな場所で、ディナーするって分かっていたら、もう少し服装に気を遣うのに。

同じフレンチコースとソムリエのお勧めのワインボトルをとオーダーした。
広告業界への就職を希望している私。
先輩は大手広告代理店『順天堂』に勤め、企画・マーケティング部に所属。

『順天堂』は私の第一希望の会社。
ワインで乾杯し、料理の盛り付けは芸術的で食べるのが勿体ないとさえ思えた。次々運ばれて来るコースメニュー。私と友永先輩は順に食していく。

仕事の話を期待したが、先輩の口から出た言葉が私に対するキモチだった。

「先輩、私・・・」

「戸惑うのは分かる。でも、どうしても塩崎さんに俺のキモチを知って欲しくて」




< 12 / 136 >

この作品をシェア

pagetop