キミ、が欲しい




「あ〜わかんない!」



突然の梓の声にサッと手を離す。
目が合って口がほころぶ。



「星那わかった?」



麻衣子も梓も降参か。
出題した先生もヒャッヒャと笑ってる。
あーだこーだ言って余白に数式を書きながら先生にヒントをねだったりと何だか騒がしい。




皆がそれぞれに集中してる中で、私はハルの顔を覗き込んで2人にしか聞こえない声で言った。





「この後、家に来る?今日親居ないんだ」



「えっ……」



「2人になりたい…ダメ?」




ブンブン首を横に振って俯いちゃった。
こうやってハルの心拍数上げるの楽しんでる自分が居る。
ごめんね、遊んじゃって。
また後でね、と席を立つ。



麻衣子たちの元に戻り、渋々ヒントを出そうとしていた先生を止めに入る。



「星那?解けたの?」



「うーん…」とプリントを眺めること数秒間。
シャーペン、ではなくチョークを手に取り黒板に書き出していく。
あ、違う…と消したり書いたりを繰り返して頭の中を整理しつつ答えを導き出す。



これ、数学オリンピックで出てた過去問らしいけど…確かに簡単に解ける問題ではない。



(ある日、午前中に雪が降り始めた。
雪はつねに一定のペースで降る。
除雪車が正午(AM12時)ぴったりに動き出し、1時間で2マイルの除雪を完了し、さらに1時間で1マイルの除雪を完了した。
雪はいつ降り始めた?)という問題。



移動距離を求めたいんだけど、肝心な速度が書かれていない。
除雪車が動き出したタイミングもわからないのに、これをどう数式化するのか……






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