キミ、が欲しい
いかに!!じゃないよ全く……
マイクを渡されステージ中央に歩き出すだけでどよめきが。
校舎の窓からも人、人、人。
どんだけ注目集めてんの。
これ、入学式の挨拶以上に緊張してる。
全校生徒だけじゃないもん。
この地獄のような静けさ、ゴクリと喉が鳴る。
やっと企画の趣旨を理解出来たところで皆さんには悪いんだけど……
「ごめんなさい」
「ぬおぉぉぉ!撃沈ー!」
「理由を聞きましょう!」
進行役2人に囲まれて質問が飛び交う。
理由も何も「好きな人がいる」でしょ?
彼氏居るって言ってんのに何でここに上げるかな。
何かガヤガヤ言ってるけど、
「もういいですか?待たせてるんで」って主張したら静かになった。
お断りした7人に対しても会場全体にも「ありがとうございました」と頭を下げたら舞台袖ではなく、中央から地面に飛び降りた。
そのまま最前列に居るギャラリーに向かって進んでいく。
「あ、すみません、道開けてください」
上から見えたから迷うことなくそっちに行くよ。
私の気持ちはもう決まってるの。
人混みを交わしてるうちに徐々に道が開けてきた。
その先に居る人物が誰なのか、私の進む方向に皆が振り返り始める。
これだけ目立ってしまって本当ごめんね?
でも考え方によっちゃ、皆に知れ渡るしちょうど良いのかなって。
真っすぐ向かった場所。
みるみるうちに真っ赤になっちゃう愛しい人。
「星那……一番目立ってるよ」と近くの麻衣子も言ってるけど。
そんなのお構いなしな私は目の前に居るハルの手を取ってしまう。
今にも泣きそうな揺らいだ瞳。
そっと頬に添えた手で拭ってあげる。
「お待たせ、行こっか」
「うん…」
周りが勝手にオォ…!って言ってるけど、そんな皆の視線に微笑んでハルの手を引いた。