キミ、が欲しい



くじ引きで生徒会実行委員に決まっちゃってその委員会後。
靴箱で1年生に告白されてるハルを見た。
勿論断っていたけど相手泣き出すしハル動揺し過ぎだし?




(靴箱で待ってて)なんて言わなきゃ良かった。



「ふーん……」



突然現れた私に思いきり動揺してる。
いや、一部始終見てましたけどね?



「あ……星那、終わったんだ、お疲れさま」



靴を履き替えながら「動揺し過ぎ」と言ったら余計慌ててる。



「だ、だって……目の前で女子に泣かれたら頭パニクっちゃって…」



「ふーん」



「ご、ごめんなさい…!」



「何のごめんなさい?」



「えっ……と、パニクったこと…?」



「ふーん」



「せ、星那〜」



さぁ、答えのない出口のないループへようこそ。
女子あるあるの月経前後のイライラね。
「星那〜」と周りでオドオドしてるハルを放置しながら歩く。



「星那、待って!」



目の前に来て私の足を止めたハル。
放課後の帰り道。
ほとんど学生は居ない。
夕陽に照らされた私たちの長い影がゆっくり重なる。



こんな時のキスはズルい。




「俺が好きなのは星那だから…」



「……知ってる」



「星那……?」



たまに余裕あるフリすんの疲れる時がある。
私だって人間くさい部分あるんだよ。



「……ごめん、私以外の女子の前であんな顔するんだって思ったらイラッときて」



こんなの、私のキャラじゃないのに。
ハルにこんな話したいわけじゃない。
いつも通り仲良く帰りたいのに。
今の私、全然余裕ない………



「え……どんな顔!?よくわかんないけど…今ハッキリ言えるのは、俺は星那にしか気持ちがないってこと…です」



私のこんな初めての態度にどうしていいかわかんなくなっちゃってんだよね。
「ほんとにごめん」って、ハルは悪くないのに。
ダメだ、頭冷やさなきゃ。






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