キミ、が欲しい
急いで家を飛び出し、いつもの電車に間に合うよう走った。
とは言え、こういう時の駅近は有り難いよね。
いつもの電車がホームに入ってきたのが見えた。
よし、間に合う!と定期をかざし中に入る。
階段を目指し走り、
電車が時刻通り到着したアナウンス、
行き交う人々、
学生たちの話し声、
長い階段を半分上りきった自分、
ドクン…!と心臓が高鳴る。
足が竦んだ。
同じ電車に乗り込もうと走る人にどんどん追い抜かれて、その電車から降りてきた人が見えた。
そこから視界が薄暗くなってきて……
階段の天井がうっすら見えて……
プツッと消えた。
凄まじい音と全身の痛み。
遠くで悲鳴に似た声と誰かが揺さぶる感覚。
そこで私の記憶は途絶えた。
次に目が覚めた時____
私は病院のベットの上だった。
パッと覗き込む誰かの顔。
「目、覚めた?良かった〜!あんた駅の階段から転げ落ちて運ばれてきたんだよ?おそらく貧血!ちょっと頭打ったけどかすり傷で済んで良かったわ」
白衣を着た女医。
繋がった点滴を調節しながら何やら書いてる。
この人こそが………
「あ……お母さん、当直明けでしょ?大丈夫なの?」
「そんなの慣れてるわよ、救急で運ばれてきたから焦ったけど頭少しかすっただけと打撲ね、この後脳の検査するから」
「はーい」
「あ、学校には連絡しておいたからね?大層びっくりされたけど症状話したから大丈夫」
「ありがとー」