日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
「ここで大丈夫だよ。


ありがとう。悠月」



「あ、あぁ、」



いつの間にか、コンテナ街を抜けていた。



車は、まだ来ていない。



「なぁ、桃華」



「何?」



背中を見せていた桃華がこちらを振り向く。



っ、



「お前は、誰、だ?」



「え?」



「一ノ瀬桃華、か?」



「え?うん。そうだよ?



どうしたの悠月?」



「いや、その」



「ん?」



違う、なにかがちがう。



「お前は、誰だ?」



「ほんとにどうしたの?悠月」



肩に触れようとした桃華の手を払う。



「誰だよ!お前は!!」



「........」



桃華は、いや、彼女は応えない。



「ふ、ははは!」



突然笑いだした彼女は
さらに大きい声で笑い始める。



「はー!ほんと面白い!
まさかバレるとは思って無かった!



さすが、"月の白龍"で
ヤクザの世界でも通ってるだけあるわ」



顔を上げた彼女は、



俺の知らない目をしている。
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