日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
本当に、心底わからないと言う顔をする。



「正信の時も言われましたけど、
私達妃瀬に、
そんな感情はありません。」



「な、に」



「死者を尊ぶ気持ちは日本伝統ですし
あなたの溺れている家族愛も、
ほら、


他人同士のこの家族に、
そうそう生まれるわけはないでしょう?」



ニィッと釣り上がった
三日月形の口元が異常に怖く感じられた。



「家族がいなければ何も出来ない。
家族のために動くようなテッペンは、


直ぐに潰されるのが落ちですわ」



パッ!!



微かに、楽器の音が鳴らされ
電気が着いたのだと伝わる。



本日初めてまともにみた
我々のてっぺんに立つ17歳の子供は



もう使い古したおもちゃの
新しい遊び方を見つけて



喜ぶように笑う。



圧倒的強者である存在感。



圧倒的支配者であるわがままが許されると
信じて疑わないその瞳



圧倒的存在である彼女。



そんなものに、



1度でも鎖をつけようとしていた
自分の愚かさを呪う。



「さぁ、夜はまだまだ長いですわ


永遠に続く夜が来ないうちに、
吐くことをおすすめしますわ。」
< 271 / 299 >

この作品をシェア

pagetop