日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
流れた月日
東華が滝壺へ姿を消しはや10数年。



妃瀬も何も知らないの一点張りで
東華の行方は分からないまま月日が流れた。



「重役、お時間です」



「そうか。」



黒のスーツに身を包み後ろを振り向く。



和風作りの家の障子の所には
スーツを着た男が頭を下げて待っている。



「予定を」



長い廊下を歩きながら男に話しかける。



「はい


本日は午前中に新しい現場の視察、
昼にはそこの責任者の説明を聞きます。」



「それ俺じゃなくてもいいだろ。」



「それは、どうでしょうか?」



「まぁ、いい、次」



「はい、予定では3時から
妃瀬会成瀬組若頭との会食です。」



その予定に口端が上がる。



「妃瀬なら、遅れれねーな」



優秀な部下はそれだけで察して苦笑する。



「昼の説明は我々が聞いておきます。」



「そりゃどーも」



門をくぐり抜けて目の前に停めてある
車に乗り込む。



七尾会如月組所属重役になって早3年。



忙しい日々と会食の日々にはもう慣れた。



その会食の中で唯一楽しみにしているのが
妃瀬会成瀬組若頭との会食。



元気にしてっかなー、あいつ。
< 291 / 299 >

この作品をシェア

pagetop