日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
ちっ!!!



ゆっくりと一歩づつ手を使いながら
岸へと近づく。



岸へ上がると背を地面に着けて大きく息をする。



「はぁ、はぁ、はぁ、」



大きな青空が忌々しいほどに
目の前を横断している。



「くっ、はぁ、」



動かない体にムチを打って体を起こす。



フラフラになりながらも
横の岩に手を付いて歩く。



「東華!!
いるだろ!!返事しろ!」



俺が助かれて東華が助かれないはずがない。



岩をつたいながら歩くが景色は変わらなければ
東華への目印ひとつもない。



あー、まじで、糞ガキが



どーなってんだよ。



どっからこーなって
何処までが計画のうちなのかわかんねーよ。



俺なら高校生謳歌してんのにな。



ガサガサ



っ!



草木をかき分ける音に反応して動きを止める。



ピョンピョン



う、うさぎ、



「全く、脅かす...な.....」



「如月 正信だな。」



よく知っている銃の感触が頭にする。



「あぁ、そうだ。」



ゆっくりと両手を上にあげる。



「ふふ、流石東華。
予定位置もバッチリよ。」



そう言って微笑んで出てきた女性に衝撃が走る。



妃瀬、天音。



「さぁ、ご同行願える?」



「はは、もちろん。」



「それは良かったわ。」
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